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2017.12.14

仕上げ材_タイル③_「やわらかいタイル」の発想

戸建事業部のウエノです。
さてタイルコラムの3回目です。

【前回までのおさらい】

ここまで、一般的なタイルの役割や特徴を紹介し
その上でHOWS Renovationとしてのタイルの考え方をお話ししてきました。

これまでの一般的なメンテナンスフリーで耐久性のあるツルっとしたタイルを「かたいタイル」とすると、
焼き物の器を愛でるように、触り心地や、細やかな表情を楽しめる「やわらかいタイル」がつくれないか。

そのヒントが愛知県・常滑にありました。

【器づくりのまち・常滑から得たヒント】

常滑では急須の生産が盛んでした。
常滑焼の急須は、滑らかで焼き締まりの良い土の良さを活かして、釉薬をかけずに焼成します。
釉薬(ゆうやく)とは表面をコーティングし、
焼き物の吸水性を抑えたり、汚れや割れを防止するものです。
釉薬をかけた部分の仕上がりは少しツルっと光沢が出ます。

釉薬をかけずに土の素地のまま焼き上げると、製造過程で小さな傷がついてしまうことがあります。
その分繊細な作業が必要となるので、大量生産するには向いていません。

そこで安定した仕上がりを得るために、常滑の急須は
釉薬と化粧土の中間にあたる「チャラ」と呼ばれる素材を使うようになりました。
チャラは土の粒子を限りなく細かくしたもので、表面にかけ焼き上げることで
土そのものの質感の良さを保ちながら、小さな傷を守ることができます。

そうやってできた常滑の急須は使い込むほどに艶が生まれる特徴があります。
またチャラはその調合次第で無数の色を生み出すことができます。

△薄くチャラを塗った急須。調合次第で無数に色が作り出せるそう。

この技術をタイルに応用すれば、
触れるほどに手に馴染み、暮らしに溶け込んでいき、
触れることでオリジナルのタイルが完成していくようなものができるのではないか。
さっそく試作し、深沢の家に採用してみました。

【深沢の家でのタイル】

使い込むほどに、艶が生まれる。
こういった常滑焼の特徴をヒントに深沢の家では

汚れや、くすみも愛着として楽しめる。
タイルを磨いて自分好みの仕上がりを調整できる。

△70mm角の白のタイル。磨く前の表面は布などが引っ掛かるくらいのザラつきがあります。

カタログ通りの見た目で、ずっとその状態が変化しないタイルではなく、
まるで食器のように手で触れ、使い込み、空間や暮らしに馴染んでいく。
そういった「やわらかいタイル」をつくりました。

今回は吹き抜けのある階段の壁に白いタイルを、
玄関土間のフリースペースの床に灰色のタイルを使っています。

焼きあがったタイルを職人さんに丁寧に貼ってもらい、
深沢の家を設計したAIDAHOのスタッフとリビタのスタッフで
磨きながらその風合いの変化を試してみました。


△壁のタイル貼り


△タイルの研磨

磨き終わったタイルは様々な光の反射の仕方によって何とも味わい深い表情を見せます。
窓から取り入れた光を1階に柔らかく落とすのに非常に効果的でした。

△ついつい触ってしまいそうになるやわらかさが見られます。


△角度によってはキラリと光り輝く瞬間も見られます。

磨く前は少しザラつきの残る表面でしたが、
やすりで磨くことにより表面はなめらかで、しっとりと質感となりました。
より強く磨くことで、また違った質感となる可能性もありそうです。

【次のプロジェクトへのきっかけ】

今回は白と灰色のそれぞれ単色のタイルをつくりましたが、
チャラの調合の仕方、またチャラを何層も重ねることで
磨いたり削ったりすることで下から違う色が出てくるような、
または、2色が混ざり合ったようなタイルも作れるかもしれません。

今回は「やわらかいタイル」の第1弾。
今後どんな可能性があるのかを引き続き試行錯誤していきます。

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【深沢の家】やわらかな光と質感がめぐる住まい
間をつくり、光と空気の通り道を開いた家【12/16(土)・17(日)オープンハウス開催】

AIDAHO:深沢の家の設計担当

前回までの記事はコチラ
仕上げ材_タイル①_起源と役割編
仕上げ材_タイル②_「焼き物・土」としてのタイル

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