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「部屋名のない居場所を楽しむ!」01 納谷建築設計事務所×HOWS Renovation

「HOWS Renovation(ハウスリノベーション)」は、新たな事業パートナーとして、新鮮な発想で多くの住宅実績ある納谷建築設計事務所との取り組みをスタート。その第一弾となる「井の頭の家」の竣工をきっかけに、リビタのHOWS Renovation担当者が、設計を手掛けた納谷新さんのご自邸「360°」を訪ねました。芝生の屋根や広いデッキなど、豊かな外部空間を備えた「360°」と、玉川上水を目前に望む「井の頭の家」。たくさんの共通点がありそうな2つの家について、じっくりお話をお聞きしました。

出演者

納谷 新 Arata Naya

1993年納谷建築設計事務所設立。個人住宅のほか、最近では幼稚園の校舎や気仙沼での震災復興の仕事もしている。釣り、バイク、車、キャンプ、カヌーなど多趣味。

 (http://www.naya1993.com/)

田中 亜沙美 Asami Tanaka

リビタのHOWS Renovation担当。事業・プロジェクトの企画やセミナーの開催、WEBサイトの運営など戸建てリノベーションに関わること全般に取り組む。

(http://www.rebita.co.jp/people/people67)

Scene1:朝、起きた瞬間から楽しい「360°」

インタビュー風景。7月某日、納谷さん自邸「360°」にて。

田中

こんにちは、お邪魔いたします。先ほど中に入る前に、芝生張りの屋根に納谷さんとペットのトイプードルが出ているのを見かけたのですが、いつもあんな感じで屋根に出られているのですか?

「360°」外観。軒上の芝生では、犬とたわむれたり、テントを張ってキャンプも楽しめる。©Photographers space

納谷

吹き抜けの開口に、グリーンカーテンをつくろうと思っていて、ミニキュウリというつる性の野菜を栽培しているので、毎朝水やりのために出ています。芝生に水やりも必要だし、雑草も抜かないといけないから、わりと屋根で過ごしている時間は長いかもしれません。近々、屋根にテントを張って、寝ようかなとも思っています。

田中

周辺に緑が多く、環境がとても豊かですよね。出かけなくてもキャンプ気分が味わえそうです。納谷さんは、どうしてこの場所を選ばれたのですか?

納谷

敷地を探すときも、緑が多いだろうと予測して、東京都と神奈川県の境、つまり県境ばかり狙っていました。この敷地は高低差と抜け感のある景観が決め手でしたね。ちょっと駅から遠くて不便ですが、見方を変えれば、都心にも田舎にもアクセスしやすく、キャンプやアウトドアが趣味の僕たち家族にとっては、ライフスタイルに合っているんです。引っ越してきてから、日曜日はなるべく休むようになったし、朝から気持ち良く過ごせて、しっかり休んだ気になれますね。もう、起きた瞬間から楽しいって感じです(笑)。

空を見上げるようなリビング。地面から90cmもぐり、巣のようなこもり感が生まれてる。©吉田誠

田中

室内に入ると外から見ている感じとは雰囲気が変わります。コンパクトな玄関からすぐに階段を5段ほど下りて、半地下のLDKになっていますね。L字の大きな開口からデッキを介し、空を見上げるような不思議な感覚です。

時間や季節によって、居心地が変化しそうなリビング。©吉田誠

納谷

1階は地面から約90cm掘り下げています。目線が変わると居心地が変わるんです。ソファに座るとお風呂に入っているようなこもり感が出て、立つと開放感が出ます。地熱を利用して、冷暖房を削減することができますし、プライバシーも守られているんですよ。冬は薪ストーブだけで、家全体を温められます。

ウッドデッキにラグを直接敷いて、家族でよく食事を楽しむそう。

田中

デッキの庇も深めにつくられていますが、これも夏の日差しを遮ることを意識されているのですか?

納谷

庇の長さは2.5mくらいです。夏の直射日光が入らないように考えました。デッキも一つの部屋として使えるように設計しています。

屋外でありながら、部屋のような居場所になっている。©吉田誠

田中

デッキ以外に、芝生の屋根も、屋外でありながら一つの部屋のように、使える空間となっていますね。

納谷

芝生の屋根は、断熱の役割も果たしながら、一つの居場所となっています。内部と外部をあまり明確にわけず、家のそこかしこにたくさんの心地いい居場所をつくりたかったんです。

中2階の畳スペース。間仕切りはないが、床レベルの違いがゆるやかな仕切りに。

田中

中2階のロフトのようなスペースは、普段はどんな風に使っていらっしゃるのですか?

納谷

普段は洗濯物を畳んだり、両親が来たときには客間として使っています。

田中

通路や階段の踊り場など、ただの廊下になりがちな場所にもスペースがあったりして、家の中にもたくさん居場所がありますね。趣味のものがたくさん並んでいて、移動するのが楽しいです。ほとんどの収納がオープンな造りになっていますね。

オープンな収納スペース。アウトドア道具やバイク用品が並ぶ。

納谷

階段の踊り場に並んでいるのは、キャンプ、カヌー、釣りなどのアウトドアの道具ですね。遊びの道具が多いのですが、好きなものばかりなので、隠して収納するという発想がないんです。いつも見えていたほうが楽しいと思います。

廊下?階段ホール?部屋?不思議なオープンスペースがいたるところに。©吉田誠

田中

2階には息子さんと娘さんの個室があって、通路に大きな作業机がありますね。廊下でもなく、部屋でもないこのスペース、とても居心地がよさそうです。家ってLDK・個室・水まわりだけでできているのではないんだと、改めて実感しました。こういった名前がつかないようなスペースは、自由で、アレンジしやすく、心地よい居場所になる可能性があるのですね。ちなみにこの場所は、どなたが使われているのですか?

納谷

基本的には子どもたちのスペースですが、家族みんなで共有する作業場という感じで設けています。本棚も2階の通路やLDKの壁などに、家族で共有できる収納として設置しました。この作業机は、デザインの専門学校で使われていたものを譲り受けたものです。

リビングの家具。それぞれ別の場所で使われていたものをリペアして使用。

田中

家具についてもっと聞かせてください。

納谷

ダイニングテーブルは、閉館する図書館で使われていた閲覧机を譲ってもらったものです。天板はかなり傷んでいたので、ヤスリをかけてオイル塗装しました。チェアはジャスパー・モリソンの「HAL」を、机に合わせて購入。この机の黒いスチールの脚が気に入っていたので、チェアの脚も特注して、同じ素材でつくってもらいました。

食器棚は置家具。昔、コストコで購入した道具入れだそう。

田中

ダイニングにある食器棚は、つくりつけではなく置き家具なのですね。

納谷

実はこれ、ステンレス製の工具入れなんです。昔コストコで購入したものを、食器棚として長年愛用しています。

モルタルや合板など、壁仕上げは素材そのものを見せている。

キッチンの収納扉もセメント板の一種であるフレキシブルボード。

床の一部は構造用合板。

田中

素材についてもお伺いしたいのですが、コンクリートやラーチ合板など、構造をそのまま見せるようなイメージですかね。

納谷

そうですね。いつもそうなんですが、仕上げをせずに構造のままというケースが多いです。壁の一部やキッチンの収納扉などには、フレキシブルボードを使っています。これもコンクリートの素地に近い質感の素材ということで選びました。化粧材を使うのは好きではないので、自然とシンプルな仕上げになります。仕上げを施すことにあまり興味がなくて、素材のそのものの自然の色が好きなんです。無垢の木でなくてもよくて、ベニヤだって本物の木の色なので、そういうものを使いたいと思います。人工的な着色料では、自然のものと同じ色は絶対に出せない。真似できないんです。だから、僕は自然の素材そのものの色を信じています。何ごとにおいても最小限で最大限の効果を生むことを考えているので、過剰な仕上げは必要ないと思っています。

田中

キッチンのコンロは、2口のものが2つ並んでいますね。なぜ、このような形にしたのですか?

納谷

コンロは4つ必要なのですが、4つ口のものだと、大きな鍋がぶつかることが多かったので、こんな風にして工夫してみました。

既成の4口コンロではなく、2口コンロをアレンジしている。

浴室扉に外部用サッシを利用したり、床面積に対してコンパクトな玄関を設けたり、既成概念にとらわれない自由な発想。©吉田誠

田中

他にも、玄関がとてもコンパクトだったり、浴室の扉に外部用の窓サッシを使っていたりなど、たくさん自由なアイデアや発想が盛り込まれていて、驚きました。

納谷

既成概念にとらわれずに、暮らしやすいように、心地良いように考えました。家ってこんなに自由でいいんだって、驚くでしょ(笑)。

文:村田保子/撮影:吉田誠、リビタ

 

Scene.2はこちら

 

納谷建築設計事務所 × HOWS Renovation

1号プロジェクト「井の頭の家」 (販売終了)
2号プロジェクト「しらとり台の家」(販売終了)
3号プロジェクト「渋谷区西原の家」(販売終了)

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