新しいタイルをつくる―地方産業と進めるものづくり@深沢の家・後半|Report|HOWS Renovation Lab.

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2018.04.07

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新しいタイルをつくる―地方産業と進めるものづくり@深沢の家・後半

こんにちは。
戸建事業部のウエノです。

先日、「深沢の家」で、
設計していただいたAIDAHOさんとリビタの共催で内覧会を行いました。

当日のトークイベントレポートの後半です。

前半はコチラ
「新しいタイルをつくる―地方産業と進めるものづくり@深沢の家」前半

愛知県常滑を拠点に活動するデザイナー高橋孝治さん、AIDAHOの長沼さん、リビタの宇都宮が今回のプロジェクトを振り返りました。

高橋:
今回の、使用頻度や手の入れ方で表情が変わるようなタイルづくりのプロジェクトは
リビタさんからすると凄いリスキーですよね。

要は、時代に逆行するというか、個体差ができやすいものを作ろうとするのは。
商流が複雑化した現代では、できるだけ同じものを同じ品質でつくろうとしますからね。
本当は、作家さんの器とかは個体差があるのが当たり前でそれを楽しむ。
今回はそこを捉え直すような取り組みだったと思います。

宇都宮:
実際に会場の皆さんも、今回作ったタイルを触ってみてください。
長沼さん、今回のタイル製作のコンセプトを改めて紹介してもらってもいいですか?

長沼:
経年変化することを肯定的に考えているタイル、自分で仕上げる具合を調節できるタイルがないので、
張った後でも自分で磨くことで艶感を調節できるようなタイルを作ってみたいと思いました。

そもそも、タイルという素材自体の売りが硬さというか、経年変化せず、竣工時と変わらないことが良しとされている素材だと思うので、その逆をいくタイルのあり方を追求してみたら面白いのではないかと思い、高橋さんに相談しました。

高橋:
そうですね。
建築のタイルって装飾的なデザインで議論が終わることが多いのだろうなと思っていて。
タイル自体のありかたや、焼き物としてのタイルと考えると可能性があるなと思いました。

宇都宮:
タイルとかプロダクトを作りたいと思った時に、常滑に相談したいとなると窓口はどこになるんですか?
まず、どこに相談したらいいかっていうのが分からないなと思って。

高橋:
むしろ、何がしたいかだと思いますね。
したいことを相談してもらえると常滑じゃないところも紹介できますよ。

宇都宮:
どれくらい小ロットでお願いできるかも知りたいですね。
1つでも作ってもらえますか?っていうのが結構ハードルになったりしますよね。

高橋:
全然1個からでも大丈夫だと思いますよ。表札とか作ったりもしますしね。
経済的に発展した既存の各ものづくりの産地は
大量の受注発注を前提とした問屋との分業システムで成り立っているんですね。
でももう大量に生産するだけの時代じゃなくなてきているので、
どれだけ小ロットで対応できるかが重要になってくると思います。

宇都宮:
僕らが今回お願いしたのもかなり小ロットですしね。

長沼:
高橋さんのように、デザインの分野の専門家で実際に住みながら
その町の産業に携わっているような知り合いはいますか?

高橋:
いますよ。福井の鯖江で活動しているTSUGIの新山さんがそうですね。
彼はインタウンデザイナーと言って町医者のようなデザインの仕事をしていますね。
福井はものづくりの街なんですよ。

THE SHARE HOTELS/HATCHi金沢では現在、
鯖江のポップアップショップ「SAVA!STORE in Kanazawa」を展開中。

長沼:
インタウンデザイナーっていいですね。

高橋:
このままどこいっても同じ風景の日本になるのは嫌ですね。
常滑がどうとかじゃなくて。
人で言うところの「くせ」のような個性が地域ごとにあって、それを大切にしたい。

私自身、作り手のことについて、あまり考えてきてなかったなと最近思います。
今は、デザインの動機の大きな一つに、作り手のためにということがあります。
そこに良いものを作る産業がありながら生かし切れていないところがあれば、
自分が学んだものづくりをそこに注力したいと思った。

あんまり深く考えずに突っ込んで考えて素直に受け入れる。

常滑でも編集者でいようと思ったが、
やはり自分がものづくりのプレーヤーになることで文化を残そうと思った。

ものづくりも一昔前は形重視、スタイリング重視だったのが、
最近はものづくりの背景やストーリーや社会的な正しさが重視されるようになってきた。
リサイクルだから良いよねと言ったように。

とてもいいことだと思う一方、社会的に良いものこそ、美しいものであるべきだと思う。

建築も最後の仕上げを現場でどれだけこだわるかが重要じゃないですか。
そういったところを疎かにしてはいけないなと思いますね。

長沼:
今回特に新しいものを作るのって時間かかるなと実感しました。
最初に常滑に行ったのが2017年の1月ですよね。
仕事の中で時間をかけられない中、新しいものを作らないといけない。
これがすごく大変なのだけど、これぐらいめんどくさいものでなければ、
良いものはできないなと感じましたね。

リビタさんの改修も、普通より時間かかりますしね。笑
でも本来やるべきことをしている感じがしています。
今回のタイルのプロジェクトも同じような感覚でした。
これからも継続してやっていきたいし、いろんな人がこういった経験すべきだと思う。

 

宇都宮;
今回はもともと物件に帰属しないタイル開発としてスタートしました。
実際、1つの物件の設計期間が短いから、設計する中で新しい素材を作り出すのはかなり難しいです。
そうじゃなくて、各プロジェクトと並行して素材開発、検討をしておくことで、
その時にタイミングの良い物件、
設計事務所からするとリビタとのプロジェクトでなくても実装することができますよね。

日々の設計業務と素材開発を同時にすることで得られる気づき、発見を楽しむ感じだと思います。

でもそれは、事業主と設計事務所、ものづくりの現場など、受注発注の関係だけだと、
お金のやり取りがないとお仕事できないというような側面もあるので、
ある程度同じ方向のビジョンをチームとして共有しておくことがすごく重要だと思う。
全く同じ目的でなくても目指すベクトルが同じだとお互いがいい関係で仕事ができるのだと思います。

約1年間かけて新しいタイル開発を行ってきました。
まだまだこれがゴールではなく、ここからさらに試行錯誤をしていきます。
次の試作も作っていて検討中です。

深沢の家での、経年変化も気になります。
また、リビタの新しいオフィスにも今回製作したタイルを張りました。
ものをつくって終わりではなく日々の中での変化をじっくりと観察して、次につなげていきたいと思います。

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仕上げ材_タイル①_起源と役割編
仕上げ材_タイル②_「焼き物・土」としてのタイル
仕上げ材_タイル③_「やわらかいタイル」の発想

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