レポート

飛騨の町で家具作り

飛騨の町で家具作り

昨年夏、岐阜県飛騨市にあるFabCafe Hidaで2泊3日滞在しテーブルとベンチを製作してきました。

FabCafe Hidaとは?

FabCafe Hidaは、岐阜県飛騨市古川町の築100年以上の古民家を改装し、木加工所や3Dプリンターなどを備え、飛騨の広葉樹を使ってものづくりをすることができるカフェです。(株)ロフトワーク、(株)トビムシ、飛騨市の合同出資で経営している(株)飛騨の森でクマは踊る(通称、ヒダクマ)がFabCafe Hidaを運営しています。

飛騨の広葉樹や伝統の仕口・継手などの組木の技術と3Dプリンターやレーザーカッターなどによるデジタルファブリケーションを組み合わせ、新たなものづくりを生み出すプラットフォームとして活動しています。今回はゲストハウスとしても利用できるFabCafe Hidaの滞在プランで、ベンチとテーブルを製作してきました。

飛騨古川について

FabCafe HidaはJR高山本線 飛騨古川駅より徒歩5分のところにあります。
最近では、映画「君の名は。」の聖地としても名が広がりました。

東京からだと新宿から高山駅まで高速バスで5時間半、その後電車に乗り換え15分、飛騨古川駅までたどり着きます。

今回は金曜日の夕方、バスタ新宿から17時出発のバスに乗り、その日の夜遅くに飛騨古川に到着しました。金曜日の夕方仕事を早く切り上げることで週末は普段と違う町で週末を過ごせるのですね。(ちなみに夜遅く出発する夜行バスでも翌朝には高山に到着します。)

古川の町は、昔からの酒蔵などの町家が立ち並び、餌を待つ鯉が水面から口を出して泳いでいる水路が流れています。視線の先は360度山々が見られます。

製作するテーブルとベンチ

今回製作するテーブルとベンチは、飛騨の広葉樹を使い、仕口・継手の技術を応用し、パーツが分解可能な構造を持ったものを作ります。金曜日に到着しFabCafe Hidaの2階で就寝し、翌朝ヒダクマの岩岡さんと打ち合わせを行い、腹ごしらえののち昼から製作に取り掛かりました。

まずは木を選ぶ

まずはベンチの座面とテーブル、ベンチの脚につかう木を選びます。(テーブルの天板は別で製作予定)蔵に置いている約10種類ほどの広葉樹の中から、それぞれの樹種の特徴を考えながら選んでいきます。

木を選ぶといっても製品として板が売られている状態ではなく、地元の製材所が原木から様々な厚みに製材して1年間天日干しにし乾燥させた状態のものから選んでいきます。

木はこのような状態のものを製材所から仕入れてきます。また広葉樹は計画的に植樹され生産されているというわけではなく、山でいい木が見つかれば伐採して、製材、乾燥します。

ここでは、実際に木を見て比較して使うものを選べるのがいいところ。産地から遠く離れた場所では細かな木の特徴を知らないままものづくりしてしまうかもしれません。

「黄檗(キハダ)の内皮は胃腸薬にも使われたりします。」
「朴ノ木(ホウノキ)はやわらかいから脚には向かないかもしれませんね。」
「胡桃はおすすめですが、先日たくさん使ったから在庫確認しないと。」
樹種の特徴が刻印された木のカードを見たり、岩岡さんから樹種の特徴教えてもらったり、蔵にある在庫の量を確認しながら使う木材を選んで行きます。(ヒダクマHPにも樹種の紹介ページがあります。)

まだ樹皮の付いた削りだす前の状態の木と、実際に製材された木の色味の違いなどを比較して確認しつつ、今回は脚を「桜」(下写真右:製材された状態)、梁を「栃(トチ)」(下写真左)でつくることに決めました。

ベンチの座面は、「胡桃(クルミ)」、「栗(クリ)」、「朴ノ木(ホウノキ)」の3種類をまぜて使っていきます。下写真真ん中の4本が今回使う木材。左2本が栗で右端が朴ノ木、右から2番目が胡桃。この状態では各樹種を見分けるのは素人ではなかなか難しいですね。

木取りをする

ここから使う材の形に切り抜いていきます。この日はベンチの座面を実際に作っていきました。

当初の予定では幅140cm×奥行40cmのベンチを製作する予定でしたが、選んだ木から取れる大きさと本数から、140cm×12cmの材を3枚張り合わせて140cm×36cmのベンチを作ることにしました。

まずは木の上に鉛筆で切り出す形を描いていきます。このあと電動丸のこやハンドソーという大きな機械で切り出していくのですが、のこで切るところは実際は5mmほど木が削れてしまいます。それも考慮して1枚の木から効率よく材を切り出せるようにしていきます。

電動丸のこで幅140cmで木を伐り落とし、そのあと蔵の中にあるハンドソーで短辺が12cmとなるように切るのですが、これが緊張感たっぷりでめちゃくちゃ難しい。

木を縦に裂いていくようなイメージで、一度刃を入れると140cm切り終わるまで集中しっぱなし。しかも、そのまま押し出していてはだんだん左側に寄ってしまう機械のクセもあり、そのコツをつかむのも一苦労。失敗が許されないプレッシャーでドっと疲れてしまいました。

もちろんハンドソーできれいな直線で切り出せるわけではありません。ここまでで、まずおおまかに140cm×12cmの材が切り出せました。
ここからは電動カンナやプレーナーを使って水平垂直を出していきます。

木の反りを見ながらカンナをかけていきます。数ミリずつ切り出す作業を続け材の大きさをそろえていきます。

寸法が揃えば最後の作業です。3枚の材を1枚大きな板にしていきます。ここで使用するのがビスケットとビスケットカッター。材の側面に楕円形の穴をあけ、そこにビスケットのような木のチップを埋め込み接着剤で固定していきます。

つなぎあわせたら、接着剤が乾いて固定されるまで万力でギュッと抑えて半日そっとしておきます。

半日の作業で木を切り出し製材し1枚の板にするところまでできました。残念ながら我々の作業はここまで。次の日、万力を外した状態を確認してあと、ヒダクマのスタッフの方にバトンパスして帰りました。

ジョイントパーツのデザイン

飛騨の伝統的な組木の技術を元に、テーブルとベンチの脚と梁が着脱可能となるジョイントパーツをつくることがテーマ。天板作りと並行して、3Dモデリングソフトと3Dプリンターを使ってジョイントパーツの試作を行いました。

つくった家具はそのパーツを起点に組むことができ、またバラすこともでき、そしてまた組み替えられるようなものを考えています。

今回、現地でヒダクマの岩岡さんと甲斐さんと3Dの設計について打ち合わせを行いました。我々が東京に帰ってからはメールやフェイスタイムなどで打ち合わせを重ね、完成に近づけていきます。

完成したベンチとテーブルは次回、紹介いたします。

FabCafe Hida でできること

我々が滞在している間も、今度家を建てる人が家具一式をここでつくりたいけどどうしたらいいですか?とFabCafeに相談に来られていました。

飛騨の伝統的な木工技術を体感し、多様な広葉樹に実際に触れ、スタッフみなさんから森のこと林業のこと、デジタルファブリケーションのことを教えてもらいながらのものづくりは、木に対する深い理解が伴います。

また、東京や大阪、名古屋などの離れた町に住んでいても飛騨へのアクセスは意外と簡単であります。

手を動かして作ってみるという、「作る楽しみ」に没頭できる週末をここ飛騨で過ごせるかもしれません。

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