ヒント

仕上げ材_タイル_まとめ

仕上げ材_タイル_まとめ

仕上げ材_タイル①_起源と役割編

〜街中にもあふれるタイルの役割とは〜

こんにちは、戸建事業部新人のウエノです。
今回は「タイル」についてのお話しです。

突然ですが、みなさん。
街中でコレ、見たことがありますか?

△恵比寿駅東口付近にて撮影


ブロック塀の壁に現れた、インベーターの模様。
これは、フランス人アーティスト・INVADERさんが世界中でゲリラ的に出現させているモザイクアートです。

断りなく貼っている(ボムるというらしいです。)ので、もちろんよくないことですが、
下の方に見えるスプレーの落書きや、よく電柱などに貼っているステッカーではなく、
接着の難しいタイルを使っているところが、妙に感心してしまいますね。

少し妙な角度からの導入ですが、
スプレーやステッカーとは違う模様の面白さがこのインベーターには現れていると感じました。
シンプルな四角いタイルとその色の組み合わせで模様や絵を生み出していくという行為は、
タイルの本来の使い方と全く同じですね。

【タイルの起源】

タイルの歴史は古く、4650年ほど前にピラミッドの地下通路の壁に使われたものがあるほどです。
また、7世紀ごろ、偶像崇拝を禁じられたイスラム教では、モスクに神の世界を再現するかのように、
タイルで様々な模様の神秘的な空間を作り出していきました。

このようにタイルには、空間を装飾する役割があります。
ちなみに、タイルの語源はラテン語の「テグラ(tegula)」で、「物を覆う」という意味です。

【街中にあふれるタイル】

現在では、タイルというのは大昔のように特別なものではなく、
住宅や街中でたくさん使われています。
では実際に街中でどんな場面で使われているかを観察してみましょう。


△マンションの外壁タイル

△住宅の外塀、階段のタイル。箇所によって細かく使い分けていますね。
△洗面の壁のモザイクタイル(5cm以下の小さなタイルのこと)。

このように、建物に使われるタイルは、「壁」や「床」などを覆っていますね。
硬いタイルで「覆う」ことによって、雨風の侵食を防ぐ役割を担っています。
みなさんも意識して、家の中や街を観察してみてください。

△ウエノの好きなタイル。上野にある東京文化会館の床タイル。単純な三角形の模様と5種類の色のパターンだけでこの美しさ。まるで落ち葉のようです。

実に多種多様な、色とりどりなタイルが世の中には溢れています。

【タイルの役割】

いろんなタイルがありますが、使われている箇所を見ていくと
雨風の当たる外構、洗面やキッチン、風、トイレなどの水回りなどが多いことがわかります。

このことからも、タイルの役割は
「劣化や汚れから建物を守り、色や模様で飾る。」
であることがわかります。

ですから、タイルの性能に求められるものは
耐久性があり、水拭きなどで簡単にメンテナンスができること。

また、時代や流行に合わせた色や柄の種類を増やしていくこと。
こういった役割が一般的であるかと思われます。

【新しいタイルへの取り組み】

2017年12月に竣工した世田谷区の深沢の家では
あるタイルの名産地のプレーヤーと設計者のAIDAHOとリビタで
共同して作ったオリジナルタイルを採用しています。

それは、今回紹介した一般的なタイルとは違った考え方の
「やわらかいタイル」
では何が「やわらかい」のか。
次回の記事ではその新しいタイルの考え方を紹介したいと思います。

キーワードは
「やわらかい」・「焼き物」・「オリジナル」
では続編でお会いましょう。

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【深沢の家】やわらかな光と質感がめぐる住まい
間をつくり、光と空気の通り道を開いた家【12/16(土)・17(日)オープンハウス開催】

AIDAHO:深沢の家の設計担当

続編はコチラ
仕上げ材_タイル②_「焼き物・土」としてのタイル

仕上げ材_タイル②_「焼き物・土」としてのタイル

戸建事業部新人のウエノです。
タイルについての続きです。

【前回のおさらい】

前回の記事ではタイルの起源と役割のお話をしました。
◼︎前回の記事:仕上げ材_タイル①_起源と役割編

△街で見かける外装材タイル

前回、一般的なタイルの役割を
「劣化や汚れから建物を守り、色や模様で飾る。」
と書きました。
このことからタイルには耐久性やメンテナンスのしやすさ、
不変性が求められます。

【HOWS Renovationの考える家の素材の選び方】

家の表面は毎日肌に触れるもの。
触れてストレスが無い感触であったり、
どこか安心するような触り心地であったり、
経年で変化する楽しみがあったり。
こういった要素が素材選びには大切であると考えています。

また、これまで、HOWS Renovationのプロジェクトではあまりタイルは使ってきませんでした。
というのも、タイルというのは大抵は「品番」がついているもの。
つまり、メーカーが販売している商品な訳です。
さまざまな種類から選んで使うことができますが、
「品番」がついているということは、「廃番」になる可能性があるということです。
もしタイルの一部が欠けてしまって、廃番になっていたら補修することが難しいですね。

△合板仕上げの壁

そのような理由からタイルを仕上げ材としてあまり使ってきませんでした。
家には必ずメンテナンスが必要になる時期がきます。
そのときに補修できないなんてことがないように
HOWSではいつの時代でも手に入れられるものを部材として選んでいます。
例えば、壁の仕上げとしては補修ができるように合板仕上げのままであったり、
ビニールクロスではなく、塗り直しができる塗装仕上げにしていたり。

【タイルは焼き物】

ここでタイルの話に戻します。
タイルとは本来、土を練って型取り焼成する「焼き物」です。
みなさんが日頃から馴染みの深い食器などと素材や作り方は同じなのです。

△リビタの運営するKUMU/THE SHARE HOTELSのフロントではお抹茶が楽しめます。茶器をまさに手で持ち上げて回して使いますね。

日本の文化では食器は手で持って使います。
毎日使う中で、手垢がついたり、いつも握っているところに艶ムラができたり。
同じ「焼き物」であるタイルも食器と同じように日常的に手に触れる距離感にあり、
使い方次第でタイルが手に、家に馴染んでいくようにできるのではないか。
ついつい触ってしまいたくなる感触のタイルはつくれないか。

△土壁は竹を細かく格子状に編み込んだ下地に何層にも土を重ねて仕上げていきます。

タイルの原料である「土」はもともと住宅の素材としてごく一般的に使われてきました。
最近では少なくなっていますが、昔の和風住宅には「土壁」がありますよね。
家の中の光をうまく反射したり吸収したりし、居心地のいい空間を作り出します。
タイルももっと「土」としての特徴を生かしたものであってもいいのではないか。

【日本六古窯・焼き物の町、常滑】

深沢の家のプロジェクトでは、リビタのHOWS Renovation、設計者のAIDAHOと
新しい常滑焼をプロデュースする高橋孝治さんら常滑のプレーヤと共同して、
オリジナルタイルを製作しました。

常滑は良質な「土」が取れることで、昔から焼き物で有名な町でした。
モダニズムの巨匠、フランク・ロイド・ライトが日本で帝国ホテルを建設した時、
レンガ450万個の生産はこの地で行われました。
しかし近年は新築住宅も減少し、安価に作られる新建材の波にも押され
タイルの生産量は減少しています。

そんな中、良質な土と高度なタイルの生産技術を持つ常滑でしかできない
新しいオリジナルのタイルを作っていきました。

テーマは「やわらかいタイル」

ではいったい何が「やわらかい」のでしょうか。
その着想と工夫、そして出来上がったタイルについて次回、紹介したいと思います。

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【深沢の家】やわらかな光と質感がめぐる住まい
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続編はコチラ
仕上げ材_タイル③_「やわらかいタイル」の発想

仕上げ材_タイル③_「やわらかいタイル」の発想

戸建事業部のウエノです。
さてタイルコラムの3回目です。

【前回までのおさらい】

ここまで、一般的なタイルの役割や特徴を紹介し
その上でHOWS Renovationとしてのタイルの考え方をお話ししてきました。

これまでの一般的なメンテナンスフリーで耐久性のあるツルっとしたタイルを「かたいタイル」とすると、
焼き物の器を愛でるように、触り心地や、細やかな表情を楽しめる「やわらかいタイル」がつくれないか。

そのヒントが愛知県・常滑にありました。

【器づくりのまち・常滑から得たヒント】

常滑では急須の生産が盛んでした。
常滑焼の急須は、滑らかで焼き締まりの良い土の良さを活かして、釉薬をかけずに焼成します。
釉薬(ゆうやく)とは表面をコーティングし、
焼き物の吸水性を抑えたり、汚れや割れを防止するものです。
釉薬をかけた部分の仕上がりは少しツルっと光沢が出ます。

釉薬をかけずに土の素地のまま焼き上げると、製造過程で小さな傷がついてしまうことがあります。
その分繊細な作業が必要となるので、大量生産するには向いていません。

そこで安定した仕上がりを得るために、常滑の急須は
釉薬と化粧土の中間にあたる「チャラ」と呼ばれる素材を使うようになりました。
チャラは土の粒子を限りなく細かくしたもので、表面にかけ焼き上げることで
土そのものの質感の良さを保ちながら、小さな傷を守ることができます。

そうやってできた常滑の急須は使い込むほどに艶が生まれる特徴があります。
またチャラはその調合次第で無数の色を生み出すことができます。

△薄くチャラを塗った急須。調合次第で無数に色が作り出せるそう。

この技術をタイルに応用すれば、
触れるほどに手に馴染み、暮らしに溶け込んでいき、
触れることでオリジナルのタイルが完成していくようなものができるのではないか。
さっそく試作し、深沢の家に採用してみました。

【深沢の家でのタイル】

使い込むほどに、艶が生まれる。
こういった常滑焼の特徴をヒントに深沢の家では

汚れや、くすみも愛着として楽しめる。
タイルを磨いて自分好みの仕上がりを調整できる。

△70mm角の白のタイル。磨く前の表面は布などが引っ掛かるくらいのザラつきがあります。

カタログ通りの見た目で、ずっとその状態が変化しないタイルではなく、
まるで食器のように手で触れ、使い込み、空間や暮らしに馴染んでいく。
そういった「やわらかいタイル」をつくりました。

今回は吹き抜けのある階段の壁に白いタイルを、
玄関土間のフリースペースの床に灰色のタイルを使っています。

焼きあがったタイルを職人さんに丁寧に貼ってもらい、
深沢の家を設計したAIDAHOのスタッフとリビタのスタッフで
磨きながらその風合いの変化を試してみました。


△壁のタイル貼り


△タイルの研磨

磨き終わったタイルは様々な光の反射の仕方によって何とも味わい深い表情を見せます。
窓から取り入れた光を1階に柔らかく落とすのに非常に効果的でした。

△ついつい触ってしまいそうになるやわらかさが見られます。

 

△角度によってはキラリと光り輝く瞬間も見られます。

磨く前は少しザラつきの残る表面でしたが、
やすりで磨くことにより表面はなめらかで、しっとりと質感となりました。
より強く磨くことで、また違った質感となる可能性もありそうです。

【次のプロジェクトへのきっかけ】

今回は白と灰色のそれぞれ単色のタイルをつくりましたが、
チャラの調合の仕方、またチャラを何層も重ねることで
磨いたり削ったりすることで下から違う色が出てくるような、
または、2色が混ざり合ったようなタイルも作れるかもしれません。

今回は「やわらかいタイル」の第1弾。
今後どんな可能性があるのかを引き続き試行錯誤していきます。

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