ヒント

仕上げ材_タイル②_「焼き物・土」としてのタイル

仕上げ材_タイル②_「焼き物・土」としてのタイル

戸建事業部新人のウエノです。
タイルについての続きです。

【前回のおさらい】

前回の記事ではタイルの起源と役割のお話をしました。
◼︎前回の記事:仕上げ材_タイル①_起源と役割編

△街で見かける外装材タイル

前回、一般的なタイルの役割を
「劣化や汚れから建物を守り、色や模様で飾る。」
と書きました。
このことからタイルには耐久性やメンテナンスのしやすさ、
不変性が求められます。

【HOWS Renovationの考える家の素材の選び方】

家の表面は毎日肌に触れるもの。
触れてストレスが無い感触であったり、
どこか安心するような触り心地であったり、
経年で変化する楽しみがあったり。
こういった要素が素材選びには大切であると考えています。

また、これまで、HOWS Renovationのプロジェクトではあまりタイルは使ってきませんでした。
というのも、タイルというのは大抵は「品番」がついているもの。
つまり、メーカーが販売している商品な訳です。
さまざまな種類から選んで使うことができますが、
「品番」がついているということは、「廃番」になる可能性があるということです。
もしタイルの一部が欠けてしまって、廃番になっていたら補修することが難しいですね。

△合板仕上げの壁

そのような理由からタイルを仕上げ材としてあまり使ってきませんでした。
家には必ずメンテナンスが必要になる時期がきます。
そのときに補修できないなんてことがないように
HOWSではいつの時代でも手に入れられるものを部材として選んでいます。
例えば、壁の仕上げとしては補修ができるように合板仕上げのままであったり、
ビニールクロスではなく、塗り直しができる塗装仕上げにしていたり。

【タイルは焼き物】

ここでタイルの話に戻します。
タイルとは本来、土を練って型取り焼成する「焼き物」です。
みなさんが日頃から馴染みの深い食器などと素材や作り方は同じなのです。

△リビタの運営するKUMU/THE SHARE HOTELSのフロントではお抹茶が楽しめます。茶器をまさに手で持ち上げて回して使いますね。

日本の文化では食器は手で持って使います。
毎日使う中で、手垢がついたり、いつも握っているところに艶ムラができたり。
同じ「焼き物」であるタイルも食器と同じように日常的に手に触れる距離感にあり、
使い方次第でタイルが手に、家に馴染んでいくようにできるのではないか。
ついつい触ってしまいたくなる感触のタイルはつくれないか。

△土壁は竹を細かく格子状に編み込んだ下地に何層にも土を重ねて仕上げていきます。

タイルの原料である「土」はもともと住宅の素材としてごく一般的に使われてきました。
最近では少なくなっていますが、昔の和風住宅には「土壁」がありますよね。
家の中の光をうまく反射したり吸収したりし、居心地のいい空間を作り出します。
タイルももっと「土」としての特徴を生かしたものであってもいいのではないか。

【日本六古窯・焼き物の町、常滑】

深沢の家のプロジェクトでは、リビタのHOWS Renovation、設計者のAIDAHOと
新しい常滑焼をプロデュースする高橋孝治さんら常滑のプレーヤと共同して、
オリジナルタイルを製作しました。

常滑は良質な「土」が取れることで、昔から焼き物で有名な町でした。
モダニズムの巨匠、フランク・ロイド・ライトが日本で帝国ホテルを建設した時、
レンガ450万個の生産はこの地で行われました。
しかし近年は新築住宅も減少し、安価に作られる新建材の波にも押され
タイルの生産量は減少しています。

そんな中、良質な土と高度なタイルの生産技術を持つ常滑でしかできない
新しいオリジナルのタイルを作っていきました。

テーマは「やわらかいタイル」

ではいったい何が「やわらかい」のでしょうか。
その着想と工夫、そして出来上がったタイルについて次回、紹介したいと思います。

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【深沢の家】やわらかな光と質感がめぐる住まい
間をつくり、光と空気の通り道を開いた家【12/16(土)・17(日)オープンハウス開催】

AIDAHO:深沢の家の設計担当

続編はコチラ
仕上げ材_タイル③_「やわらかいタイル」の発想

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