レポート

テキスタイルのLAB / pole-pole インタビュー(前半)

テキスタイルのLAB / pole-pole インタビュー(前半)

京王線つつじヶ丘駅から徒歩約10分。小さな農園を通り抜けると緑の木々が広がる神代団地が見えてきました。郵便局やスーパー、カフェなど落ち着きのある団地の商店街の一角に、全面ガラス張りで、中には軽やかでカラフルなテキスタイルが吊るされた不思議な雰囲気の建物があります。今日は、ここに「LAB(ラボ)」を構えるpole-poleさんのお話を聞きにいきました。

pole-poleは廣瀬勇士さん、シミズダニヤスノブさん、近藤正嗣さんの3人のデザイナーによるテキスタイルのデザイン会社です。それぞれ独立したデザイナーであった3人が共同で会社を運営しています。HOWS Renovationとは昨年、荻窪の家のプロジェクトで空間に取りつけるテキスタイルを彼らと協働してつくりました。

毎日着ている服もテキスタイル。カーテンやクッション、ソファや椅子の張地もテキスタイル。テキスタイルのデザイナーのお仕事とはどのようなものなのでしょうか?

 

聞き手:宇都宮・上野(リビタ)

pole-pole とは -3人のデザイナーの働き方-

▲左:近藤さん 右:シミズダニさん

宇都宮:
pole-pole さんはどうして3人で活動をされているのですか?

シミズダニ:
僕と近藤は同じ大学の出身で廣瀬はお世話になっているプリント工場で出会いました。組織化することで、異なる視点を共有し、新たな価値観を創造して仕事の幅を拡大できたらと考え、pole-poleを結成しました。

宇都宮:
3人の仕事の関わり方はどんな感じなのですか?

近藤:
仕事を依頼されたとき、まず3人で話し合いアイデアを出し合いながら、そこから誰が中心で進めていくかを決めていきます。

シミズダニ:
それぞれがフリーランスでやっていたとき、1人でアイデアを考えると正直考えが偏ることもあったのですが、3人でアイデアを出し合うことで個人の時とは違った思いがけない発想が生まれたりします。それぞれのこれまでの経験を活かし、広がりを見せれるところが良いところですね。

宇都宮:
3人で仕事をするメリットはその辺りにあるのですね。テキスタイルのデザインって一緒に作るというより、個人で仕事を進める方がよかったりするのかなと個人的には思っていたのですが、そうではないのですか?

近藤:
もちろんそれもあるけれども、3人でアイデアを出し合うやり方もは面白いですね。

宇都宮:
pole-poleでの目的って3人それぞれが違ったりするのですか?

近藤:
おもしろい質問ですね。pole-poleに仕事の依頼がきたときに、いろんな角度からアイデアを考えられるので目的は違っていてもいいですね。実験的というか。個人でやっているとだんだん作るものが似てくるんですよ。7年くらいフリーランスしていると思考が偏ってきて飽きてしまうというか。自分というキャラができてしまって同じような依頼ばかりくるようになったりしました。

▲近藤さんの個人の作品 http://hachibunno5.com/

宇都宮:
それはありそうですね。それによって偶発的な仕事に出会えなくなってしまいますよね。

近藤:
個人の展示会などで打開しようとしてもなかなかむずかしくて。近藤らしいものを期待されるのはもちろんいいことでもあるけれども、そうじゃない領域をやっていきたいと思っていました。

廣瀬:
近藤と同じ考えですね。3人で会社になったということで、これまで個人ではできなかったような仕事をしていきたいと考えていますね。シミズダニや近藤はプリントというイメージが付いていたんですけれど、今は織物や他のジャンルにも取り組んでいます。

▲廣瀬さん

上野:
会社になった後に、お客さんからの要望が変わったりしましたか?

近藤:
依頼の内容はあまり変わらないのですが、期待されるポイントは少し変わったかもしれません。誰かのオリジナルではなく、pole-poleのチームとしてのデザインを求められている気がしています。100%自分だけの答えじゃなくていい、8:1:1みたいな割合で協働してつくっていくみたいな、それでもいいと考えると、仕事に対して違う考え方ができるようになってきました。

仕事の領域とLABとしての位置づけ

宇都宮:
クライアントワークでは作るモノのインストール先が決まっていることが多いと思うのですが、そうじゃなくて一緒に何か作っていきましょうというような、領域を広げていくような仕事か、それとも自分たちの道を確立していくような仕事をしていくのか、今どのような考え方を重視していますか?

シミズダニ:
両方ですね。まだ会社を設立して2年ぐらいでそこまで認知されていないので、pole-poleがきることを積極的に発表していきたいですね。3人で領域を拡張していきたい気持ちもあるので、欲張りですけど両方ですね。

宇都宮:
テキスタイルに限らず、その人の仕事の領域って見えていること以外にも、意外と複雑だと思っていて、住宅の領域でも過去の実績から同じものを期待されてしまうことがよくあるのですが、それをどう打開していくかに興味があります。

近藤:
そうですね。僕らも、いろんなテキスタイルの工場にアプローチして刺繍や織物、レースなどの技術を知ることで領域を広げて打開していきたいと思っています。そういう意味では3人でやることでチャレンジができるのがいいかなと思っています。デザインだけではなくテキスタイルの技術を知っているチームだというように捉えられるといいのかもしれません。

宇都宮:
ラボという位置付けはそういった見え方を意識しているんですね。僕のイメージ、ラボってもっと情報が混沌としていて、テキスタイル研究室なのにテキスタイルは無い、みたいな状態でもいいですよね。要はショールームとは違うじゃないですか。場としての位置付けはどうですか?

近藤:
まだまだピースが少ない感じはありますね。テキスタイルがどのように見えてくるかを実感できる場所ってあまり無いんです。ここだと、白背景、グレー背景、ガラス背景などで見え方を確かめられる。それだけでプレゼンテーションができる。テキスタイルを楽しんでいる場所になればいいなと思っていますね。あと、小さいですがシルクスクリーンプリントをできる準備をしているので、ワークショップを含めた新しい展開を考えています。テキスタイルに興味がある人がふらっと来てくれる場所になりたいですね。

神代団地とpole-pole

宇都宮:
今はどうですか?この団地の一角の存在としては。

シミズダニ:
団地の人たちにはまだ怪しまれていますね、まず一番に入りにくいと 笑。基本、金土日はオープンにして、ワークショップを開催したり、商品やサンプルを見てもらえるようにしています。

廣瀬:団地にもさまざまな職種の人が住んでいて、建築関係やプロダクトデザイナーの方が来たりもしますね。

近藤:
団地に住んでいる勇気あるおばちゃんが様子を見に来たりしていますね、その方が仲のいい友達に話してくれるみたいな 笑 ちょっとずつですが浸透してきているかもしれません。ただ、今はまだ遠くからからここを目指して来てくれる人が多いですね。

シミズダニ:
このあたりは子供が多いから子供向けのワークショップをもやっていけたらおもしろいかなと思っていますね。ただ、まだこの団地の中では少し浮いた不思議な存在になっているかもしれないですね。

宇都宮:
そんな状況でも、テキスタイルで雰囲気を変えられるようなアイディアってありますか?

例えば、団地のどこかの住居でコーディネートしてみたりとかどうですか?家の改修もしないし、引っ越しもしないけど、テキスタイルによって雰囲気をガラリと変えることができれば幸せかも。

シミズダニ:
テキスタイルだからこそできることではありますね。大掛かりな工事の必要も無いですし、柔軟に空間を変える方法になると思います。

上野:
団地の夏祭りとかあるんですかね?そこで屋台をテキスタイルで作ってあげて、使い方を見せてあげるといいのかも。

後半へ続く 「テキスタイルの技術と可能性/pole-poleインタビュー後編」

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pole-pole

”新しいデザインではなく大切なデザイン”をコンセプトにフリーランスのテキスタイルデザイナー3人によって2017年に結成されたデザイン会社です。pole-poleとは『点と点をつなげること』経糸と緯糸がつらなり、織りあがっていく布地のように、何かと何かが結びつく中で生まれるコトやモノ、ヒトを大切にデザインしています。

『 pole-pole LAB 』

アトリエ、事務所、ショップ、たまにギャラリーになるスペースです。オリジナルの布地やアイテムの販売、ワークショップなども定期的に開催しています。pole-poleの布地をカーテンなどへの展開もこのLABで実際に布地を空間に吊ったものを見ながらご相談できます。

金、土、日曜日の13:00~18:00でオープンしています。
( 不定期なのでFacebookInstagramでスケジュールをご確認ください。)
東京都調布市西つつじケ丘4丁目23−35 号棟 神代団地商店街106 MAP

 

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