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落葉樹とともに秋を迎えて-MIDOLAS × HOWS Renovation_vol.2

落葉樹とともに秋を迎えて-MIDOLAS × HOWS Renovation_vol.2

「植物と暮らしを豊かに。」をコンセプトとする
MIDOLAS(ミドラス)さんと季節ごとの連載企画第2弾です。

 

ミドラスのディレクター橋野さんと戸建ての庭の楽しみ方を考えていきます。

Y邸は2018年3月に築40年超の木造住宅をリノベーションした戸建住宅。

菱形のような変形地の真ん中に建物があり、四方にゆとりのある庭を持っています。

取材に訪れたのは、秋も深まる11月中旬。

 

夏が過ぎ、果実が実り、木々が葉を落とすお庭の様子を、

ミドラスの橋野さんに落葉樹との上手な向き合い方、

秋・冬の時期のお手入れの仕方について、Yさまご家族とご一緒に話を伺いました。

〝四季”〟を感じられる落葉樹について

橋野さん より

豊かな”自然”を暮らしの中で感じるには、落葉樹はとても大切な存在です。
普段お庭のご相談を受ける際、常緑樹を希望されるケースが多いと感じています。
どうしても落とした葉や実などの掃除の手間や、落葉後の寂しい姿が気になって敬遠されてしまうからです。
マイナスの印象を抱かれることが多い落葉樹ですが、表情豊かに私たちを楽しませてくれるのもまた、「落葉樹」です。

例えば四季。葉を落とし寂しげな冬を越えた春には、力強く芽吹く姿を見せてくれます。
そして、夏には葉が生い茂ることで強い日差しを柔らかく遮り、秋には葉が色づき始め、趣のある紅葉した姿を。
寒さの厳しい冬には葉を落とすことで、日差しを遮ることなく室内に迎え入れてくれます。
いわば、内と外の間で、四季の暮らしに寄り添い、日々の風景に変化や気づきを与えてくれる存在です。

単に〝緑〟という自然ではなく、〝環境〟というより豊かな〝自然〟を感じることが出来るのが落葉樹の魅力ではないでしょうか。

もちろん生活スタイルや目隠し、お隣の敷地への落葉のリスクを考慮し、
常緑樹を選択することは間違いではありませんし、適しているケースもあります。

大切なのは植物のそれぞれの特徴を活かしてともに暮らすこと。
自分たちにあったグリーンを取り入れたお庭づくりに、是非トライしてみてはいかがでしょうか。

庭の落葉樹とともに迎えた初めての秋で感じたこと

お伺いしたY邸ではリノベーションの際、既存落葉樹の一部を残すという選択をされています。裏庭には大きな桜の木、表にはモミジやウメ、柿の木などの落葉樹が今に至るまで残っています。

リノベーション工事前の庭の様子
現在も育っているもみじ

住み初めてから最初の秋を迎えた昨年、落葉の清掃は苦労されましたか?と伺ったところ
旦那さまはあまり記憶にないとおっしゃっていましたが、
奥さまは自分が掃除をしました!とはっきり覚えていらっしゃったことが、
とても印象的でした。(笑)

お二人が去年の体験やお庭を通じて、強く感じられたことは、
植物は〝生き物〟であるということ

それは、決して造形物でも観賞のためだけのものでもないということです。

落葉樹も含め、『お庭は容易にコントロールできないし、共に育てていかなければいけない存在です』と認めるきっかけになったそうです。

だからこそ、お子さんと一緒に身近な自然を感じる場としてお庭を楽しんだり、長い時間をかけてお庭と向き合ってみようという考えに至ったとのことでした。

戸建てリノベーションをされる際には、既存のお庭とどう向き合うかがお悩みの種になることも多いと思います。Yさまご夫婦のお話からは、大変ではあるけれどお庭に対して前向きな考え方が所々に感じられました。

庭リノベに携わる中で、私自身も感じていることはお庭には〝完成形〟がないということです。植えたその時から、成長や変化が始まり、四季を通じても絶え間なく表情を変えていきます。

変化を享受し、長い目でお庭と向き合う大らかなスタンスが、お庭と上手に付き合うコツなのかもしれません。

秋のお庭を通して、お二人の話からは大切な考え方を教えていただきました。

 

秋のお庭を通した意図せぬコミュニケーション

お庭は立地によって、街の中での景観となるセミパブリックな空間でもあります。

Y邸のお庭は、リノベーションの際、既存の大谷石の塀を取り払ったことで、周囲に比べ大分オープンな存在となっています。

そのため、近所の方からも初めは『どうして塀を取ったの?』とよく声をかけられたそうです。

リノベーション工事前の写真
現在の様子

1年お庭と向き合う中で、そんなオープンな場であることから、様々な意図せぬコミュニケーションが生まれたというエピソードがとても印象的でした。

近所の日本画家の方から、秋に美しく色づいた葉を描かせてほしいので譲ってもらえませんかと声をかけられたり、近所の方がこそっと落ちた柿の実を取ろうとしていたり(笑)

11月には柑橘系の実がなっています。

日々お庭と格闘している姿は、お二人が思っている以上に近所の方は気にしてくださっていたようで、『いいお庭になってきましたね』『この植物お庭に植えてみて』といったお庭を通じたコミュニケーションが自然と生まれていました。

それは決して、〝整った美しいお庭〟だからではなく、子育てをしながらも何とかお庭と向き合ってみようという姿勢を、皆さんが見てくれているからではないかという奥さんのお言葉も、とても印象的でした。

地域柄や、個々人の価値観にもよるところではありますが、豊かなコミュニティが秋のお庭を通して育まれていることは、庭リノベに携わらせてもらった私たちにとってもとても喜ばしいエピソードでした。

建物ではなく〝街〟に暮らしているということを実感させてくれるのも、オープンなお庭が教えてくれた豊かさなのかもしれません。

第1弾記事でお伝えした、既存の大谷石を再配置し、庭との距離感を近く身近に感じられるよう庭リノベを行ってから、夏の雑草との格闘そして実りの秋を迎えました。
日々成長や変化がある植物・庭と向き合うことで、新たな気づきと安らぎを与えてくれています。

次回について

今回は、橋野さんにY邸の落葉樹との上手な向き合い方、秋・冬の時期のお手入れの仕方についてお話を伺いました。次回は2月頃に庭の様子を見ながらインテリアグリーンについても考えてみたいと思います。

 

t_tanaka

協力
MIDOLAS(ミドラス)

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